このリポジトリは、2025年12月7日(日)に網走で開催される「Okhotsk DEW Community IT交流・勉強会」のハンズオン資料です。 Raspberry Pi Pico上でPicoRuby (R2P2) を動かし、光センサー(CdSセル)からのデータをUART通信でPCに送信するプログラムを実装します。 マイクロコントローラとPC間のシリアル通信の基礎を、Rubyを使って学習します。
イベント詳細: https://okhotsk-it.connpass.com/event/373766/
- PicoRubyについて
- ハードウェアについて
- 電子部品の準備
- R2P2について
- Web Terminal への接続方法
- 回路の接続
- 配線の動作確認
- 今回実装するもの
- PC側の準備
- ファイル構成
- Raspberry Pi Pico への app.rb 書き込み手順
- 動作確認
- 挑戦してみよう
- もっといろいろなことをしたい人へ
- 組み合わせてみよう
- ハンズオンのまとめ
- Rubyや電子工作のコミュニティとつながろう
- フォールバック手順
PicoRubyはワンチップマイコン向けの最小Ruby実装です。 公式ドキュメントではPicoRubyの仕様、使い方、サンプルコードなどが詳しく紹介されています。 GitHubリポジトリではソースコードも公開されており、より深く学べます。
- 公式ドキュメント: https://picoruby.github.io/
- GitHubリポジトリ: https://github.com/picoruby/picoruby
Raspberry Pi財団が開発したマイクロコントローラボードです。 RP2040チップを搭載し、GPIO、ADC、I2C、SPI、UARTなどのインターフェースを備えています。 教育用途やIoTプロジェクトなどで利用されています。
参考: https://www.raspberrypi.com/products/raspberry-pi-pico/
Raspberry Pi財団が独自に設計したマイクロコントローラチップです。 デュアルコアARM Cortex-M0+プロセッサ(最大133MHz)、264KBのSRAMを搭載しています。 プログラマブルI/O(PIO)機能により、カスタムハードウェアインターフェースを実装できます。
参考: https://www.raspberrypi.com/products/rp2040/
このハンズオンを手元で体験したい方は、事前に秋月電子通商で必要な部品を購入してください。 ピンヘッダーのはんだづけが必要な場合は、ご自宅で作業を済ませてから会場にお越しください。
必須部品(1~4):
-
Raspberry Pi Pico ベーシックセット(ピンヘッダー・USBケーブル付属) https://akizukidenshi.com/catalog/g/g116149/
-
CdSセル 5mmタイプ(光センサー) https://akizukidenshi.com/catalog/g/g100110/
-
カーボン抵抗 1/4W 10kΩ https://akizukidenshi.com/catalog/g/g125103/
-
ブレッドボード(例:ブレッドボード EIC-801) https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-00315/
⚠️ もしほかにもいろいろなことをやりたい場合は、もう一個追加で購入するか、ワンサイズ大きなブレッドボードを購入することを推奨します。
推奨部品(もし興味があって他のこともやりたければ):
-
ブレッドボード・ジャンパーワイヤ
- 5.1. かため(14種類×10本セットなど) https://akizukidenshi.com/catalog/g/g100288/
- 5.2. やわらかめ https://akizukidenshi.com/catalog/g/g130088/
💡 かためのワイヤーはブレッドボードの配線がごちゃつかない利点があり、やわらかめのワイヤーは離れたところ同士の配線がしやすいため、両方の種類があると便利です。
-
タクトスイッチ(例:黒色) https://akizukidenshi.com/catalog/g/g103647/
-
圧電サウンダ(例:SPT15) https://akizukidenshi.com/catalog/g/g104118/
-
LED(例:5mm赤色LED) https://akizukidenshi.com/catalog/g/g101318/
-
カーボン抵抗 1/4W 100Ω https://akizukidenshi.com/catalog/g/g125101/
-
ティルトスイッチ(傾斜スイッチ) https://akizukidenshi.com/catalog/c/ctiltsw/
秋月電子通商: https://akizukidenshi.com/
R2P2(Ruby Rapid Portable Platform)はPicoRubyで書かれたRaspberry Pi Pico用のシェルシステムで、Ruby言語を使ってマイクロコントローラを操作できます。
- picoruby/picoruby の Releases から
R2P2-PICORUBY-3.4.2-PICO-*.uf2(RP2040 用)をダウンロードします.PICO2_Wを含む名前のファイルは別製品用のため,取り違えないよう注意してください. - Raspberry Pi Pico の BOOTSEL ボタンを押しながら USB ケーブルで PC に接続します.
- Raspberry Pi Pico が
RPI-RP2という名前のストレージデバイスとして認識されます. - ダウンロードした UF2 ファイルを
RPI-RP2ドライブにコピーします. - コピーが完了すると Pico が自動再起動し,
RPI-RP2ドライブはファイルマネージャーから消えます.これは正常な動作です. - Chrome または Edge(デスクトップ,バージョン 89 以降)で Web Terminal にアクセスし,シリアルポートに接続します(詳細は次章参照).
- R2P2 のシェルプロンプト(
$>)が表示されれば接続成功です.
参考: https://github.com/picoruby/picoruby
接続しても画面が黒いままで何も表示されない場合があります。 そのようなときは、Enterキーや他のキーを何度か押してみると、R2P2シェルのプロンプトが表示されることがあります。 なお、これは応急的な対処法であり、正しい接続手順がある場合はそちらに従ってください。
画面に$>と表示されたら、R2P2のシェルに入れています。
このシェルではls、pwd、catなどの基本的なUnixコマンドも動作します。
また、irbと入力することで対話的Rubyシェルを起動できます。
また、一度接続が確立した後に、ターミナルをそのままにした状態でUSBケーブルを抜き差しすると、ロゴが正しく表示される場合があります。 ただし、この方法は少々乱暴なため、他の方法で解決できる場合はそちらを優先してください。 USBケーブルの抜き差しは、Raspberry Pi Pico側ではなくPC側で行うことを推奨します。
Web Terminal は hasumikin 氏が開発したブラウザ上のシリアル端末です. Web Serial API を使用するため,Chrome または Edge(デスクトップ,バージョン 89 以降)が必要です. R2P2 3.4 以降に対応しており,TeraTerm や screen といったターミナルソフトを別途インストールする必要はありません.
- Raspberry Pi Pico を USB ケーブルで PC に接続します.
- Chrome または Edge で https://picoruby.org/terminal にアクセスします.
- 画面上の「Connect」ボタンをクリックします.
- ブラウザのポート選択ダイアログが表示されたら,Raspberry Pi Pico のポートを選択して接続します.
- R2P2 のシェルプロンプト(
$>)が表示されれば接続成功です.
「Select closest version number to your R2P2」ドロップダウンは Latest のままで問題ありません.
Web Terminal で接続したら,irb を使って Raspberry Pi Pico のオンボード LED を制御してみましょう. Raspberry Pi Pico には GP25 ピンに接続された LED が基板上に搭載されており,プログラムから制御できます.
操作手順:
- R2P2 のシェルプロンプト(
$>)でirbと入力して Enter キーを押し,対話的 Ruby シェルを起動します. - 以下の PicoRuby コードを 1 行ずつ入力して実行します.
led = GPIO.new(25, GPIO::OUT)
led.write(1) # LED点灯- Raspberry Pi Pico 基板上の LED が点灯することを確認します.
- 次に,以下のコードで LED を消灯させます.
led.write(0) # LED消灯- LED が消灯することを確認します.
GPIO.new(25, GPIO::OUT) の 25 は GP25(GPIO番号) を指しています.Raspberry Pi Pico のオンボード LED は GP25 ピンに接続されています.
この操作により,PicoRuby でハードウェアを直接制御できることを体験できます. LED の点灯・消灯を繰り返して,GPIO 出力の動作を確認してみてください.
Raspberry Pi Pico には 40 本のピンがあり,それぞれに異なる機能が割り当てられています。 以下の図は,各ピンの機能と配置を示しています。
図 1: Raspberry Pi Pico のピンアサイン(ピン配置図)
このハンズオンで使用する主なピン:
- 3V3(ピン36): 3.3V電源出力で,センサーや周辺回路に電源を供給します。
- GND(ピン38など): グランド(マイナス側)で,回路の基準電位として使用します。
- GP27(ADC1,ピン32): アナログ入力ピンで,CdSセルからの電圧を読み取ります。
- 同じピンが複数の機能に対応している場合,同時に複数の機能を使用することはできません。
- 3V3 ピンからの電流供給には上限があるため,消費電力の大きいデバイスを接続する際は注意してください。
- Raspberry Pi Pico の裏面にもピン番号とピンの役割(GP 番号,3V3,GND など)が印刷されており,配線時に参照できます。
- PicoRuby でピンを指定する際は,物理的なピン番号ではなく GPIO 番号(GP 番号) を使用します。
出典: 上記のピンアサイン図は,Raspberry Pi Pico Datasheet (RP-008307-DS) の p.4 より引用しました。
このプロジェクトでは、CdSセル(光センサー)と10kΩ抵抗を使った分圧回路を構成します。 3V3ピン(ピン36)から10kΩ抵抗を経由してCdSセルに接続し、CdSセルの他端をGNDピン(ピン38など)に接続します。 抵抗とCdSセルの接続点をGP27(ADC1、ピン32)に接続することで、光の強さに応じた電圧値をADCで読み取れます。
なお、Raspberry Pi Picoの裏面にはピン番号とピンの役割(GP番号、3V3、GNDなど)が印刷されているため、配線時に参照できます。
上記の回路図と実体配線図は、Fritzingを使用して作成しました。 Fritzingは、電子工作のための回路図、ブレッドボード配線図、基板レイアウトを作成できるオープンソースのソフトウェアです。 グラフィカルインターフェースで配線図を作成でき、教育用途やプロトタイピングに利用されています。
配線が完了したら、以下の点を確認してください:
- 3V3ピン(ピン36) → 10kΩ抵抗 → CdSセル → GNDピン(ピン38など) の順に接続されているか
- 10kΩ抵抗とCdSセルの接続点が GP27(ADC1、ピン32) に接続されているか
- 各部品が確実にブレッドボードに挿入されているか(接触不良がないか)
- 配線が回路図と一致しているか(ブレッドボード配線図と照らし合わせて確認)
配線が正しくできているかを確認するために、R2P2のirbで動作テストを行います。
「Web Terminal への接続方法」の章を参照して,Web Terminal で Raspberry Pi Pico に接続してください. 接続が成功すると,R2P2 のシェルプロンプトが表示されます.
接続してR2P2のシェルが表示されたら、以下の手順でセンサー値を確認します。 ここで入力するRubyのコードはPicoRubyで実行されます。
irbと入力してEnterキーを押し、対話的Rubyシェルを起動します。- 以下のPicoRubyコードを1行ずつ入力して実行します:
require 'adc'
sensor = ADC.new(27)
sensor.read_rawADC.new(27) の 27 は GP27(GPIO番号) を指しており,物理的なピン番号(ピン32)とは異なります。PicoRuby では GPIO 番号を使用してピンを指定します。
- CdSセルに手をかざして明るさを変えながら、何度か
sensor.read_rawを実行します。 - 明るいときと暗いときで値が変化すれば、配線が正しくできています。
CdSセルの特性について: CdSセルは素子全体で光を受けて抵抗値が変動します。 そのため、手でCdSセル全体を包むように暗くすると、値の変化が大きくなります。
期待される結果:
- 明るいとき:小さい値(例:1000~2000程度)
- 暗いとき:大きい値(例:3000~4000程度)
値が変化しない場合は、配線を再確認してください。
このハンズオンでは、以下の2つのプログラムを実装します:
- Raspberry Pi Pico側(app.rb): GPIO27ピンに接続されたCdSセル(光センサー)からアナログ値を読み取り、シリアルポート経由でPCに送信し続けるプログラム
- PC側(serial-receiver.rb): シリアルポート経由でRaspberry Pi Picoから送信されるセンサーデータを受信し、画面に表示するプログラム
UART通信を使った基本的なセンサーデータの送受信を体験することで、マイクロコントローラとPC間のシリアル通信の仕組みを理解できます。
最初はコードを書かずに、こちらで用意した app.rb と serial-receiver.rb があるので、それらのファイルで動作を確認します。
PC側でserial-receiver.rbを実行するには、Rubyとserialport gemが必要です。
1. Rubyのインストール確認
ターミナル(WindowsならコマンドプロンプトまたはPowerShell)で以下を実行:
ruby -vRuby 3.0以降がインストールされていることを確認してください。インストールされていない場合:
- Windows: RubyInstaller からインストール
- Mac: 標準でインストール済み、または
brew install rubyでインストール - Linux/Unix:
sudo apt install ruby(Debian/Ubuntu) またはsudo yum install ruby(CentOS/RHEL) でインストール
2. serialport gemのインストール
gem install serialport3. インストール確認
gem list serialportserialport が表示されれば正常にインストールされています。
serialport gem がインストールされていない場合でも,Web Terminal の irb を使って Raspberry Pi Pico の動作確認はできます.
「配線の動作確認」節の ADC.new サンプルは Web Terminal 上でそのまま実行可能です.
PC 側で serial-receiver.rb を動かすためには,引き続き serialport gem が必要です.
Raspberry Pi Pico上でR2P2を使用して動作するプログラムです。 GPIO27ピンに接続されたADCセンサーから生データを読み取り、シリアルポート経由で送信します。
PC上でRuby 3.4を使用して動作する受信プログラムです。 シリアルポートを変数で指定し(今回のソースコードだとCOM5)、Raspberry Pi Picoから送信されたセンサーデータを受信して画面に表示します。
- R2P2 がインストールされた Raspberry Pi Pico を USB ケーブルで PC に接続します.
- Web Terminal(https://picoruby.org/terminal)でシリアルポートに接続します.
- File Editor 上部のテキストフィールドに
/home/app.rbと入力します. - 「Open local file」で PC 上の
app.rbを選択し,「Upload」を押します. - アップロードが完了したら,USB ケーブルを抜き差しして Pico を再起動します.PC 側の USB-A コネクタで抜き差しすることを推奨します.
- 再起動後,Web Terminal で再度「Connect」して接続します.
/home/app.rbが自動実行されますので,止めたいときはCtrl+Cを押してください.
/home/app.rb 以外のパスまたはファイル名で保存すると自動実行されません.必ず /home/app.rb として保存してください.
app.rbとserial-receiver.rbの両方を準備できたら、実際に動作させてセンサーデータが正しく送受信されることを確認しましょう。
- 前述の「Raspberry Pi Pico への app.rb 書き込み手順」に従って,
/home/app.rbにアップロードし Pico を再起動します. - 再起動後,app.rb が自動実行され,センサーデータの送信が開始されます.
- ターミナル(WindowsならコマンドプロンプトまたはPowerShell)を開きます。
- serial-receiver.rbがあるディレクトリに移動します。
- 必要に応じてserial-receiver.rb内のシリアルポート名(例:COM5、/dev/tty.usbmodem*など)を環境に合わせて編集します。
- 以下のコマンドでserial-receiver.rbを実行します:
ruby serial-receiver.rb
- センサーデータが画面に表示されることを確認します。CdSセルに手をかざして明るさを変えると、値が変化するはずです。
- プログラムを終了するには、
Ctrl+C(Windowsの場合はCtrl+C、Macの場合はControl+C)を押します。
以下は、Raspberry Pi PicoとPC側のプログラムが正常に動作している様子です。
基本的な動作確認ができたら、PC側のプログラム(serial-receiver.rb)を改造して、追加機能を実装してみましょう。 以下の課題は、回路やRaspberry Pi Pico側のapp.rbを変更せずに取り組めます。
/exercise に serial-receiver.rb の解答例を用意してあります。もし実装に困ったら参考にしてください。
受信したセンサー値を閾値と比較して、「明るい」または「暗い」を表示する機能を実装します。
実装のヒント:
- 受信した値を整数に変換して閾値(例:2500)と比較します。
- 条件分岐(if文)を使って判定結果を表示します。
- 閾値は環境に応じて調整してください。
期待される動作例:
2048 → 明るい
3856 → 暗い
受信したセンサー値を視覚的に表現するため、テキストベースのバーグラフを表示する機能を実装します。
実装のヒント:
- センサー値をスケーリングして、文字列(例:'#'や'=')を繰り返し表示します。
- 値の範囲(0~4095)をグラフの長さ(例:0~50文字)に変換します。
"#" * (value / 100)のような式で繰り返し文字列を生成できます。
期待される動作例:
2048: ####################
3856: ######################################
受信したセンサー値をタイムスタンプ付きでCSVファイルに保存し、後で分析できるようにします。
実装のヒント:
File.openを使ってCSVファイルを開きます(追記モード'a'を使用)。Time.nowで現在時刻を取得します。- カンマ区切りで「タイムスタンプ,センサー値」の形式で書き込みます。
- プログラム終了時にファイルが確実に閉じられるよう、ensureブロックを使用します。
- データ記録後に
sleep 1を実行して,1 秒間隔でデータを取得します。 - バッファクリア:
sleep 1を使用すると,その間もシリアルポートの受信バッファにデータが溜まり続け,古いデータを読み取ってしまいます。read_nonblockを使ってバッファをクリアすることで,常に最新のデータを取得できます。
# バッファクリア: 溜まっているデータをすべて読み捨て
begin
sp.read_nonblock(4096)
rescue IO::WaitReadable
# バッファが空(正常)
end
# 最新データを取得
line = sp.gets期待されるCSVファイルの内容例:
2025-12-07 14:30:15,2048
2025-12-07 14:30:16,2051
2025-12-07 14:30:17,3856
これらの課題に取り組むことで、Rubyでのデータ処理、条件分岐、ファイル操作の基礎を習得できます。 複数の機能を組み合わせて、グラフ表示とファイル記録を同時に行うプログラムに発展させることもできます。
ハンズオンで使用した光センサー以外にも、様々なセンサーやアクチュエーターを接続して実験できます。 以下に、複数の部品を組み合わせた回路例と、各部品の使い方を紹介します。
- Vccまたは3.3V記号: 電源のプラス側を示します。回路図では上向きの線や「3.3V」と書かれた記号で表され、Raspberry Pi Picoの3V3ピンに接続されます。
- GND記号: グランド(電源のマイナス側、基準電位)を示します。回路図では下向きの三角形や横線で表され、Raspberry Pi PicoのGNDピンに接続されます。
- ネットレーベル: 配線の名前(例:GP9、GP10など)を示します。同じネットレーベルの箇所は電気的に接続されていることを意味し、複雑な回路図を見やすくします。
抵抗の値の読み方: カーボン抵抗は、抵抗値をカラーコード(色の帯)で表しています。 例えば、10kΩの抵抗は「茶・黒・橙・金」の4本の帯があり、最初の3本で値を、最後の1本で誤差を表します。 抵抗のカラーコード表を参照して、正しい抵抗値であることを確認してから使用してください。 秋月電子通商のサイトや、カラーコード計算ツールを活用すると便利です。
LEDの極性: LEDには極性(プラスとマイナス)があり、正しい向きに接続しないと点灯しません。 一般的に、足が長い方がアノード(プラス側)、短い方がカソード(マイナス側)です。 また、LED本体を横から見ると、カソード側が平らに削られていることがあります。 回路図では、三角形の先端がカソード側を示しています。
タクトスイッチの内部構造: タクトスイッチには4本の端子がありますが、内部で既に導通しているピン同士があります。 通常、対角線上のピン同士が独立しており、ボタンを押すとこれらが接続される構造になっています。 ブレッドボードに挿入する際は、スイッチの向きに注意してください。 向きを間違えると、常に導通している状態になってしまい、スイッチとして機能しません。
ティルトスイッチは傾きを検出するセンサーで、内部の金属球が傾きによって移動し、接点のON/OFFを切り替えます。 上記回路図ではGP15ピンに外付けプルアップ抵抗(R2=10kΩ)を介して接続されており、通常時はHIGH、傾けるとLOWになります。
tilt = GPIO.new(15, GPIO::IN) # 外付け抵抗があるので内部プルアップは不要
tilt.read # => 傾いていない: 1(HIGH)、傾いている: 0(LOW)タクトスイッチはボタンを押している間だけONになるスイッチです。 上記回路図ではGP9ピンに外付けプルアップ抵抗(R3=10kΩ)を介して接続されており、通常時はHIGH、押すとLOWになります。
button = GPIO.new(9, GPIO::IN) # 外付け抵抗があるので内部プルアップは不要
button.read # => 押していない: 1(HIGH)、押している: 0(LOW)圧電サウンダは電圧を加えると音を鳴らす部品です。PWM(パルス幅変調)で周波数を変えることで、音程を変えられます。 上記回路図ではGP10ピンに電流制限抵抗(R4=100Ω)を介して接続されています。
require 'pwm'
buzzer = PWM.new(10)
buzzer.frequency(442) # 442Hzの音(ラの音)を設定
buzzer.duty(50) # デューティ比50%で音を鳴らす
buzzer.duty(0) # デューティ比0%で音を止めるLEDは電流を流すと光る部品で、デジタル出力で点灯・消灯を制御できます。 上記回路図ではGP12ピンに電流制限抵抗(R5=100Ω)を介して接続されています。 今回は負論理といって「3.3 V→抵抗→LED→GPIOポート」と接続されています。 そのため、1 (3.3 V) を出力すると消灯、0 (GND=0 V) を出力すると点灯します。
デジタル出力による点灯・消灯:
led = GPIO.new(12, GPIO::OUT)
led.write(1) # LED消灯(HIGH出力)
led.write(0) # LED点灯(LOW出力)PWMによるアナログ出力(明るさ制御):
PWM(パルス幅変調)を使用することで、LEDの明るさを連続的に制御できます。 デューティ比(0~100%)を変えることで、見かけ上の明るさを調整します。 同じ回路を利用するため、デューティ比が高いと暗く、低いと明るくなります。
require 'pwm'
led = PWM.new(12)
led.frequency(1000) # 周波数を1000Hzに設定(ちらつき防止)
led.duty(100) # デューティ比100%(消灯)
led.duty(50) # デューティ比50%(半分の明るさ)
led.duty(10) # デューティ比10%(明るい)
led.duty(0) # デューティ比0%(最大の明るさ)PWMを使用すれば、フェードイン・フェードアウト効果や、センサー値に応じた明るさ調整などのLED制御ができます。
複数のセンサーやアクチュエーターを組み合わせることで、複合的なシステムを構築できます。 ここでは、レベルアップ用回路のデバイス(CdSセル、ティルトスイッチ、タクトスイッチ、圧電サウンダ、LED)を組み合わせた課題を紹介します。 これらの課題では、Raspberry Pi Pico側(app.rb)とPC側(serial-receiver.rb)の両方のプログラムを改造します。
💡ヒント : Raspberry Pi Pico 側でも、PC 側でもどちらでも実装できることがあるときは、よりシンプルになるほうだったり、処理の重さでどちらにするか考えたりすると、より楽しいです。
CdSセルで測定した明るさに応じて、圧電サウンダから異なる音階を鳴らすシステムを実装します。
必要なデバイス:
- CdSセル(GP27 / ADC1)
- 圧電サウンダ(GP10)
実装の方向性:
- app.rb側: CdSセルの値を読み取り、センサー値をシリアル送信します。圧電サウンダはPWMで制御し、周波数を変えることで音階を変化させます。
- serial-receiver.rb側: 受信したセンサー値を適切な周波数(例:ドレミファソラシド)に変換し、app.rb側に音階データを送り返す仕組みを実装することも可能です。あるいは、app.rb側で独立して明るさに応じた周波数を計算し、PC側は監視やログ表示に専念する設計も考えられます。
期待される動作:
- 明るいとき:高い音(例:880Hz、ラの音)
- 暗いとき:低い音(例:262Hz、ドの音)
- センサー値に応じて連続的に音階が変化
ティルトスイッチで傾きを検知し、傾いている間LEDを点灯させる警告システムを実装します。 デジタル出力での単純な点灯・消灯に加えて、PWMを使った点滅効果や明るさ制御にも挑戦できます。
必要なデバイス:
- ティルトスイッチ(GP15)
- LED(GP12)
実装の方向性:
- app.rb側: ティルトスイッチの状態を読み取り、傾きを検知したらLEDを点灯させます。同時に状態をシリアル送信してPC側に通知します。PWMを使用して点滅効果を追加することもできます。
- serial-receiver.rb側: 受信した傾き状態を画面に表示し、傾き検知の履歴や統計情報(傾いた回数、時間など)を記録します。
期待される動作:
- 通常時:LED消灯、PC画面に「正常」表示
- 傾いたとき:LED点灯または点滅、PC画面に「警告:傾きを検知しました」表示
- 傾きの履歴をPC側で記録
発展課題: PWMを使用して、傾いている時間の長さに応じてLEDの明るさや点滅速度を変化させる警告レベルシステムを実装できます。
タクトスイッチを押している間だけ、CdSセルの明るさに応じてLEDを制御するシステムを実装します。 LEDの点滅速度を変化させる方法と、PWMを使って明るさを変化させる方法の両方にチャレンジできます。
必要なデバイス:
- CdSセル(GP27 / ADC1)
- タクトスイッチ(GP9)
- LED(GP12)
実装の方向性:
パターンA(点滅速度制御):
- app.rb側: タクトスイッチとCdSセルの状態を読み取ります。ボタンが押されている間、明るさに応じてLEDの点滅速度を変化させます(明るいほど速く点滅)。センサー値とボタン状態をシリアル送信します。
- serial-receiver.rb側: 受信したデータから現在の動作モード(ボタン押下中/非押下)と明るさレベルを画面に表示します。グラフ表示や統計情報を追加することもできます。
期待される動作:
- ボタンを押していない:LEDは消灯
- ボタンを押している + 明るい環境:LEDが速く点滅(例:0.1秒間隔)
- ボタンを押している + 暗い環境:LEDがゆっくり点滅(例:1秒間隔)
パターンB(明るさアナログ制御):
- app.rb側: PWMを使用してLEDの明るさを制御します。ボタンが押されている間、CdSセルの値に応じてLEDのデューティ比を変化させます(環境が明るいほどLEDも明るく)。
- serial-receiver.rb側: 受信したセンサー値から計算されたデューティ比を表示し、現在のLED明るさレベルをバーグラフで視覚化します。
期待される動作(パターンB):
- ボタンを押していない:LEDは消灯
- ボタンを押している + 明るい環境:LEDが明るく点灯(デューティ比0~20%、負論理のため低いほど明るい)
- ボタンを押している + 暗い環境:LEDが暗く点灯(デューティ比70~90%、負論理のため高いほど暗い)
- センサー値に応じてLEDの明るさが滑らかに変化
タクトスイッチを押すと圧電サウンダから音が鳴る、簡単な電子楽器を実装します。
必要なデバイス:
- タクトスイッチ(GP9)
- 圧電サウンダ(GP10)
実装の方向性:
- app.rb側: タクトスイッチの状態を監視し、押されている間圧電サウンダを鳴らします。ボタンの押下状態をシリアル送信します。
- serial-receiver.rb側: ボタンの押下回数をカウントし、演奏履歴を表示します。さらに発展させて、PC側から音階データを送信し、ボタンを押すたびに異なる音を鳴らす機能を実装することもできます。
期待される動作:
- ボタンを押している間:音が鳴る(例:440Hz、ラの音)
- ボタンを離す:音が止まる
- PC側で演奏統計を表示(押下回数、演奏時間など)
発展課題: 複数のタクトスイッチを追加して、それぞれ異なる音階を割り当てることで、複数の音階を持つ電子楽器を作成できます。
CdSセル、ティルトスイッチ、LED、圧電サウンダを組み合わせた総合的な環境監視システムを実装します。
必要なデバイス:
- CdSセル(GP27 / ADC1)
- ティルトスイッチ(GP15)
- LED(GP12)
- 圧電サウンダ(GP10)
実装の方向性:
-
app.rb側:
- CdSセルで明るさを監視し、閾値を超えて暗くなったら異常と判定
- ティルトスイッチで傾きを監視
- 異常検知時(暗すぎる または 傾いている)は、LEDを点滅させ、圧電サウンダで警告音を鳴らす
- PWMを使用して、異常の種類や重大度に応じてLEDの明るさや点滅パターンを変える
- すべてのセンサー状態と警報状態をシリアル送信
-
serial-receiver.rb側:
- 受信したデータをリアルタイムで画面表示
- 異常発生時の通知を強調表示
- ログファイルに異常イベントを記録(タイムスタンプ付き)
- 統計情報(異常発生回数、継続時間など)を表示
期待される動作:
- 正常時:すべてのセンサー値を静かに監視、PC画面に「正常」表示
- 暗すぎる場合:LED点滅(デューティ比70%、負論理のため中程度の明るさ)+ 低い警告音、PC画面に「警告:照度低下」表示
- 傾き検知時:LED点滅(デューティ比40%、負論理のため明るめ)+ 高い警告音、PC画面に「警告:傾き検知」表示
- 両方同時発生時:LED高速点滅(デューティ比0%、負論理のため最大輝度)+ 交互に異なる音、PC画面に「重大:複合異常」表示
発展課題: PC側からリモートでシステムの設定を変更できる機能(閾値の調整、警報ON/OFFなど)を実装することで、双方向通信システムに発展させられます。
このハンズオンでは、Raspberry Pi PicoにR2P2をインストールし、PicoRubyを使ってマイクロコントローラプログラミングの基礎を学びました。 CdSセル(光センサー)を使った回路を構築し、センサーから読み取ったアナログ値をUART通信でPCに送信するシステムを実装しました。 PC側ではRubyでシリアルポートからデータを受信し、リアルタイムに表示するプログラムを作成しました。
Ruby言語でマイクロコントローラを操作できることで、電子工作に挑戦できます。 今後は、タクトスイッチ、LED、圧電サウンダ、ティルトスイッチなど様々な部品を組み合わせたプログラムに挑戦してみてください。 温度センサーを使った環境モニタリングシステムや、モーターを使った自動制御装置など、様々な応用ができます。
PicoRubyとRaspberry Pi Picoを使った電子工作を通じて、ソフトウェアとハードウェアの両方の知識を習得し、IoTデバイスの制作や組み込みシステム開発のスキルを向上させられます。 次章で紹介するコミュニティへの参加も学習に役立ちます。 コミュニティに参加することで、他の人の作品から学び、自分の作品を共有できます。
PicoPicoRubyは、PicoRubyの相互扶助コミュニティです。 月1回のペースでオフラインで集まって交流し、自分の作ったものを見せ合ったり、作業をしたり、雑談したりしています。 初心者から経験者まで、PicoRubyに興味がある方はぜひご参加ください。
- Connpassページ: https://picopicoruby.connpass.com/
FuraITは富良野市で活動するITコミュニティで、Arduino部が活発に活動しています。 Arduino部ではDiscordの音声チャンネルを使って定期的に勉強会を開催し、電子工作初心者から経験者まで参加しています。 北海道内で電子工作に取り組む方が参加できるコミュニティです。
- Connpassページ: https://furait.connpass.com/
- 活動ブログ: https://furait.hatenablog.jp/
RubyKaigi 2026は、2026年4月22日(水)〜24日(金)に函館で開催される日本のRubyカンファレンスです。 RubyKaigiとして初めて北海道での開催となり、世界中からRubyistが集まります。 Rubyに興味がある方はぜひ参加をご検討ください。
- 公式サイト: https://rubykaigi.org/2026/
Chrome または Edge が使用できない環境向けの手順です. TeraTerm(Windows),screen(Mac),minicom(Linux)などのターミナルエミュレータを使用します.
Windows
デバイスマネージャーの「ポート (COMとLPT)」から確認できます.
Raspberry Pi Pico は通常 COM3,COM4,COM5 などの形式で表示されます.
Mac
ターミナルで ls /dev/tty.* または ls /dev/cu.* を実行します.
Raspberry Pi Pico は通常 /dev/tty.usbmodem* の形式で表示されます.
接続前後で ls の結果を比較すると,新たに追加されたデバイスを特定できます.
Linux/Unix
ターミナルで ls /dev/ttyACM* または ls /dev/ttyUSB* を実行します.
Raspberry Pi Pico は通常 /dev/ttyACM0 などの形式で表示されます.
dmesg | grep tty で接続時のカーネルログも確認できます.
シリアルポートを確認したら,ターミナルエミュレータで Raspberry Pi Pico に接続します(ボーレート 115200).
Windows(TeraTerm)の場合:
- TeraTerm を起動し,「シリアル」を選択します.
- 確認したシリアルポート(例:
COM5)を選択して接続します. - メニューから「設定」→「シリアルポート」を選び,ボーレートを
115200に設定します.
Mac(screen)の場合:
screen /dev/tty.usbmodem* 115200Linux(minicom)の場合:
minicom -D /dev/ttyACM0 -b 115200接続が成功すると,R2P2 のシェルプロンプトが表示されます.











